コラム

文在寅政権で急増、大量破壊兵器転用物質流出 金額にして24倍、在韓米軍撤退も視野に風雲急な朝鮮半島

矢野 義昭

韓国の文在寅政権は日米との安全保障面での軋轢を強め、北朝鮮、中国に対する融和姿勢を強めている。

文在寅政権は本当に中朝との友好を前提とする安全保障政策に切り替えようとしているのであろうか?

■対馬領有を主張していた韓国

竹島についてわが国は、1905年に竹島を島根県に編入することを閣議決定し、領有意思を再確認するとともに、主権の行使を他国の抗議を受けることなく、平穏かつ継続して行ってきた。

このことはわが国の竹島に対する領有権が、国際法に基づき合法的に確立されてきたことを示している。

そのような合法的なわが国固有の領土であった「竹島」に対し、根拠のない領有権を一方的に主張し始め「竹島」問題を創ったのは、初代韓国大統領李承晩(イ・スンマン)である。

1945年9月、日本占領下で日本漁船の操業海域を制限するため、その限界線を定めた「マッカーサーライン」が引かれた。

1947年には韓国は同ラインを越えて日本漁船が操業したとの理由で、日本漁船の拿捕を開始している。

米国の外交文書によれば、韓国はサンフランシスコ平和条約締結交渉の際に、米国に対し「対馬は韓国領土である」と、強く主張していたことが明らかになっている。

これに対し、「対馬は日本が長期間にわたり完全に統治しており、講和条約は対馬の現在の地位に影響を及ぼさない」とし、ジョン・フォスター・ダレス国務長官は、「根拠がない」と、韓国の要求を拒否した。

韓国では2005年、わが国の「竹島の日」制定に対抗して、「対馬の日」を制定し、2008年7月、国会において「対馬返還要求決議案」を発議しており、現在も対馬の領有権を主張している。

このように韓国には、竹島よりも早くから対馬侵略の野心があり、今も放棄していないことに、日本は警戒しておかねばならない。

朝鮮戦争は、九州占領を企図していた李承晩大統領が韓国軍を南に集結させていたため、空白になっていた背後を北朝鮮に奇襲されて起きたものであり、芦田均首相が、警察予備隊の創設を主張したのも、韓国軍の九州占領を阻止するためであったとの、元芦田首相側近の証言もある。

対馬領有の主張を米国に拒否された韓国の梁裕燦(ヤン・ユチャン)駐米大使が、対馬に代り竹島の領有権を持ち出した。

これに対して米国務省は1951年8月10日付の書簡で、竹島は1905年頃から島根県隠岐支庁の管轄下に置かれており、日本固有の領土であると回答し、韓国による領有権主張を否定している。

■「竹島」を「征服」した韓国 韓国を増長させた日本側の穏便方針

それにもかかわらず、韓国はわが国が主権回復するサンフランシスコ平和条約発効の3カ月前に、日米の抗議を無視して、領有権を主張し事実上の軍事境界線である李承晩ラインを一方的に宣言し、その中に竹島を取り込んだ。

国際法に則り、日本が領有権を確立してきた竹島に対して、韓国は国際法違反の李承晩ラインを根拠に、この時期に実力による「征服」を行った。

「征服」による領土併合は今日の国際法では認められていない。

また李承晩ラインの違法性は、宣言直後から米、英、中華民国などからも指摘されている。

李承晩大統領の狙いは、竹島の領有だけではなく、折からの日韓会談に対し、「野蛮な人質外交」を展開して日本政府に国際法違反の無理な要求をのませることにもあったとみられる。

李承晩ラインの宣言は、1952年2~4月の第1次日韓会談直前の同年1月に強行された。

日本の主権回復、独立の直前にマッカーサーラインは消滅し、日本漁船は自由に操業できるようになっていた。

それにもかかわらず、李承晩ラインを根拠に、韓国は日本の独立後も日本漁船の拿捕を強行した。

さらに翌年の第2次会談の直前の1953年2月には、日本漁船に銃撃を加えて漁民を殺害するという第一大邦丸事件が生起し、会談中に竹島に守備隊を駐屯させている。

しかし当時の日本政府は、日韓交渉を進めるため韓国側を刺激するのをおそれ、断固とした対応をとらなかった。

1953年6月27日の日本側の竹島調査時に、不法上陸した韓国漁民6人に対して「船隊指揮官の命により保安本部係員が厳粛かつ事務的に日本領であることを話し彼らに退去を命令」したと島根県知事に報告されている。

この時点では、竹島は日本が支配していた。

しかし、海上保安庁の同年6月17日付内部文書によれば、第八管区海上保安本部に対して出された、時の取り締まり方針では、「相手側との紛争はできるだけ避けること」にして、また「同島の3海里以内に韓国漁船を発見した場合あるいは同島に上陸してくる韓国人を発見した場合は、出入国管理令又は漁業管理法令違反として、司法処分することなく退去を勧告してこれを退去させる措置を講じることとした」とされている。

この基本方針は、同年6月に外務省主導下で関係省庁が対策を協議しており、その時に「竹島問題対策要綱」として決定されたものとみられている。

同年7月2日には巡視船「ながら」が竹島を巡視して調査を行い、同月9日には、巡視船「おき」が巡視を行ったものの、公務員常駐などの竹島の管理強化をしなかった。

これらの日本の対応は韓国を増長させた。7月12日には巡視船「へくら」への銃撃事件があり、翌1954年6月11日には韓国政府は竹島に海洋警察を急派した。

1954年11月、時の海上自衛隊舞鶴地方総監麻生孝雄氏は、「竹島問題は武力に訴えるものではなく、政治的に解決すべきで」、「国力が回復すれば自然に解消する問題で、下手に武力紛争を起こすことは李ライン全域に対して韓国(略)の圧迫強化を導くことになり、かえって漁民を苦しめるだろう」と語った。

(藤井賢二『竹島問題の起源-戦後日韓海洋紛争史―』ミネルヴァ書房、2018年、9~14頁)

その後も韓国側の拿捕、抑留、銃撃は続き、日本漁船の竹島近海への接近すら困難になっていった。

『海上保安庁レポート2007』によれば、拿捕された日本漁船は計326隻、抑留された乗組員は計3904人に上った。海上保安庁巡視船への銃撃も15件、16隻に及んでいる。『海上保安白書 昭和四十一年版』では8人が死亡したとされている。

このような「野蛮な人質外交」が最も効果を上げたのが、「一九五七年十二月三十一日の合意」であった。

この合意では、日韓交渉の最大の対立点だった、約22億ドルに上る、韓国に残してきた日本の財産に対する請求権を日本は放棄した。それと引き換えに、ようやく韓国は抑留漁船員の送還に合意した。

また日本は、被害総額250億円以上と見積もられた、日本漁民が受けた直接間接の損害賠償についての韓国側に対する請求権も放棄した。賠償金はすべて、日本政府が支払うことになった(藤井、同上書、29~33頁)。

そのうえ、1965年に締結された日韓基本条約中の「(日本と)韓国との請求権・経済協力協定」では、日本は韓国の要求を最終的に受け入れ、無償資金3億ドルと長期の低利貸し付け2億ドル、総額5憶ドルの提供を約束した。その額は当時の韓国の国家予算の1.4倍だった。

このようにして、李承晩政権以来の「野蛮な人質外交」による恫喝を交えた、韓国側の国際法無視の強硬姿勢に、日本側は屈した結果となった。

しかし現在では、国際法上「征服」の領域権原性は認められておらず、竹島の領有権が日本に帰属することは明らかである。

今年7月の中露両軍機の竹島接近・領空侵犯事案は、韓国が主張する実効支配が現実の中露の軍事的威圧の前には、効力をもたないことを露呈させた。

■反日姿勢を強め自ら孤立を深める韓国

このように韓国の「野蛮な人実外交」に日本が屈した別の大きな理由として、冷戦のさなかにあり、米国側から共産主義国の脅威を封じ込めるためには日米韓の安全保障上の連携が重要であるとの要請があったことが挙げられる。

また日本としても、北朝鮮の独裁政権に対して韓国の安全保障と経済発展を支えることが、日本の国益にとっても死活的に重要との判断があったとみられる。

李栄薫(イ・ヨンフン)ソウル大学名誉教授らが指摘する「反日種族主義」を強める文在寅政権は、今年8月4日の『中央日報』によれば、匿名の軍・政府当局者の話として、竹島近海で、近く8月中にも韓国軍による軍事演習を行う可能性が報じられており、竹島実効支配強化の姿勢を示している。

今年7月23日、韓国軍はロシアの「A50」空中警戒管制機が領空侵犯したとして警告射撃を行ったほか、中露の戦略爆撃機が韓国の防空識別圏に入ったと発表した。

これを受け露国防省は、中露の爆撃機が史上初の合同パトロールを実施していたと公表。目的は共同軍事活動能力の強化だったとしている(『産経ニュース』2019年7月28日)。

韓国の防衛・警備能力は、単独では、中露の対馬海峡から日本海での連携行動を阻止する力はない。中国軍がロシアの防空部隊の掩護下で行動することに近く合意するとの報道もある。

これに連携するように、北朝鮮は今年7月以降、韓国全土と対馬など日本の一部に届くとみられる各種の短距離ミサイルの発射試験を連続集中的に行っている。

ロシアのイスカンデル型に類似した低空を飛行する精度の高い弾道ミサイルの発射も重点的に行われている。

このような低高度を飛行する短距離ミサイルはTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)では迎撃できない可能性が高く、韓国と在韓米軍のミサイル防衛システムの無力化を狙った新型ミサイルの開発配備能力を誇示する動きとみられる。

米国のドナルド・トランプ大統領は、これらの短距離ミサイルの発射試験について、弾道ミサイルの場合は明らかに国連の制裁決議違反であるにもかかわらず、問題視しないとの姿勢を示している。

今後は、韓国は対馬海峡方面からも中露の軍事圧力を受けることになり、日韓の分断と韓国の海洋勢力からの孤立はさらに深まることになると予想される。

これに対抗するには、日韓の連携を強めなければならないはずだが、文在寅政権は逆に反日姿勢を強めている。

■文在寅政権の反日姿勢に毅然とした対応をとるべき日本

文在寅政権下で、韓国最高裁は、いわゆる「元徴用工訴訟」において、日本企業に対し損害賠償を命ずる判決を下している。

しかし、日韓請求権協定により、すべての請求権問題が、個人補償も含めて、日韓で「完全かつ最終的に解決することとなることを確認した」はずであった。

このような国際間の取り決めに反する国内司法の裁定については、国際法に基づき、国内司法を自制させるとともに条約上の取り決めを遵守すべき責任が、文在寅政権にはある。

しかし文政権は、司法の独立を口実にして、対応策をとろうとしていない。

これは、日韓基本条約締結交渉時の22億ドルに上る在韓日本財産請求権放棄に次ぐ、日本人・企業の財産権に対する侵害をもたらしかねない裁定である。日本政府が日本企業の財産権を守り抜くとしているのは当然の措置と言える。

日韓基本条約交渉当時と現在とは、日韓関係は大きく変化している。

日本としては、韓国を特別扱いし、国際の法規慣例と事実関係を無視して、不当な要求を突きつけてくる韓国、特に親北姿勢を明確にしている文在寅政権に対しては、譲歩し、あるいは特別扱いをする必要はない。

むしろ安全保障上の観点からも、国際的責務を果たすためにも、正当な要求は通さねばならない。

対韓輸出規制強化措置についても、大量破壊兵器に転用可能な物資がイランやシリアなどに密輸されていることも、文在寅政権になってからその件数が3.4倍、金額で24倍に急増していることも明らかになっている。

(西岡力「安倍首相が信用しない理由」『正論2018年9月号』)

このような状況は、日本の安全保障にとり看過できない問題である。

また、これを阻止するために輸出規制を強化するのは、大量破壊兵器関連物質の各種の規制レジームに参加している日本として、果たすべき国際的責務でもある。

軍事面の日韓の協力関係でも、様々の軋轢が生じている。両国間には今年8月24日に更新の判断期限を迎える軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の更新について、日本側は継続を希望しているが、韓国は破棄を示唆している。

また日本政府の『2019年版防衛白書』の原案では、「安全保障協力」の章で重要度を示すとされる記述順を、韓国について18年版は2番手だったが、今回は4番手と位置づけている。防衛省筋は「事実上の格下げを意味する」と明言している(『共同通信社』2019年8月10日)。

日韓のGSOMIAについては、北朝鮮が短距離ミサイルの発射試験を繰り返すなか、日韓双方にとり必要性は高まっている。それにもかかわらず、文在寅政権は頑なに日本の輸出規制強化措置を理由に破棄を示唆している。

日本の輸出規制強化措置は、単に韓国を優遇措置の対象国から外すというにすぎず、禁輸ではなく手続きを踏めば入手可能であり、韓国が過剰反応するような報復措置などではない。

それにもかかわらず、国内世論向けに文政権は、反日扇動の材料として使い、支持率アップにつなげようとしている。自国の安全保障にとり、GSOMIAを維持することが有益なことは言うまでもない。

■強まる米韓共同防衛体制の軋轢

同様の軋轢は、米韓の間でも生じている。

2016年1月の北朝鮮の核実験強行などを受け、米韓両国は、同年2月より在韓米軍に対するTHAAD配備について公式協議を開始し、同年7月、配備を正式決定した。

しかし中露両国は、グローバルな戦略バランスを崩し戦略的安定性を損なうとして、欧州と並び韓国へのTHAADシステム配備には、2016年3月11日、中露外相が共同で反対を表明している。

王毅部長は「米国のこのミサイル防衛システムは、朝鮮半島の実質的防衛の需要を超え、同地域の戦略的バランスを壊して新たな軍備競争を触発する」と述べた。王部長は「米国の朝鮮半島へのTHAAD配備は防衛目的を超越している」と評価した。

ロシアのラブロフ外相も「私たちはミサイル防衛に対して立場を共有している」「私たちは国連などの国際舞台で(THAAD反対の)主張をしていく」と述べた。

またTHAADは「グローバルバランスと戦略的安定破壊という脅威を加える」とも述べた。

さらにラブロフ外相は「私たちはこの2つの方向(朝鮮半島のTHAADと欧州のMD)のいずれにおいても、グローバルバランスと戦略的安定性を毀損する恐れがある計画は不当だと考える」と述べた(『ハンギョレ新聞』2016年3月12日)。

文在寅政権は当初、THAADの追加配備に慎重だったが、北朝鮮の相次ぐミサイル発射などを受けて、2017年4月末には運用予定地への同システムの一部の配備が開始された。

同年9月には発射台4基が追加配備され、同システムの臨時配備が完了した。加えて、同月の米韓首脳会談において、韓国や周辺地域に、米国の戦略アセットの循環配備を拡大することで合意した(『平成30年版日本の防衛』87頁)。

しかし他方で、2017年6月7日韓国政府はTHAADの追加配備に関しては「4基の配備は用地の環境影響評価作業が終了してから決定する」と発表した。環境評価作業には1年は要するため、事実上の「中断」に等しいともみられていた。

臨時配備完了後の2017年10月30日、 韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は、韓国の国会外交統一委員会の国政監査で、次のように述べている。

①韓国は米国のミサイル防衛(MD)システムに参加しない
②THAAD追加配備を検討しない
③韓日米安保協力は軍事同盟に発展しない

外交部長官が韓日米軍事同盟に言及したのは異例だった。

康長官の午前の発言の後、中国は同日午後に公式的な反応を見せた。中国外務省の華春瑩報道官は康長官の発言に関連し、「我々は韓国側のこうした3つの立場を重視する」とし「韓国側がこれを実際に行動に移すことを願う」と述べた。

韓国の外相が前日、THAAD問題について「3つのノー」を約束したことに続き、中韓両国の外交部は31日午前に公式サイトで、中韓双方は両軍ルートを通じ、THAAD関連問題について意思疎通をすることを決定したと発表している(『中央日報』2017年10月31日)。

このように文在寅政権のTHAAD配備に対する姿勢は、米中両国のはざまに立ち、右往左往し方針が定まらない状況が続いている。

同様の混乱は、在韓米軍の戦時作戦統制権の問題でも生じている。

廬武鉉(ノ・ムヒョン)政権は、米国に対し在韓米軍の戦時作戦指揮権の韓国への移管と米韓地位協定の見直しを要求した。

地位協定の見直しについては実現しなかったが、戦時作戦統制権の移管については、2010年に移管のためのロードマップである「戦略同盟2015」が策定された。

2015年12月1日までの移管完了を目標として、従来の「米韓軍の連合防衛体制」から「韓国軍が主導し米軍が支援する新たな共同防衛体制」に移行する検討が行われていた。

しかし、北朝鮮の核・ミサイルの脅威が深刻化したことなどを受け、第46回米韓安保協議会議において、戦時作戦統制権の移管を再延期し、韓国軍の能力向上などの条件が達成された場合に移管を実施するという「条件に基づくアプローチ」が採られることが決定された。

韓国軍の能力向上の中心となる三軸システムの整備完了目標が2020年代初頭までとされており、2017年10月の第49回米韓安保協議会議では、次回会議までに、条件に基づく移管計画を米韓共同で保管させることが合意された(『平成30年版 日本の防衛』87頁)。

この戦時作戦統制権移管問題について、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防部長官とパトリック・シャナハン米国防長官代行は今年6月3日、ソウル国防部庁舎で韓米国防長官の会談を開き、戦時作戦指揮権が韓国軍に転換された後、韓米連合軍司令官は韓国軍の4つ星の階級章の将軍(隊長)が引き受けることに合意したと報じられている(『中央日報』2019年6月4日)。

しかし、米国では他国の司令官の指揮下で米軍を作戦させることは原則的に認められない。その意味では、戦時に在韓米軍が韓国軍司令官の指揮を離れ「支援」に留まり、「韓国軍主導」で作戦が行われる可能性が高まっている。

ただし、米国が韓国に提供する核の傘など戦略資産の統制問題は今のように連合司令部とは別に米国が独自に行使すると予想される。

牙山(アサン)政策研究院安保統一センターのシン・ボンチョル・センター長は「戦作権が転換されても韓国は情報・監視・偵察(ISR)や戦略資産など軍事的に米国に多くのことを頼らざるを得ない」として「韓米同盟の重要性はそのまま維持される」と指摘した。

韓国政府は現政権の任期最後の年である2022年に戦時作戦統制権の移管を終えるという計画だ。

また、米韓の国防長官は連合司令部を(韓国)国防部領内に移転することにした計画を変え、平沢(ピョンテク)の米軍基地ハンフリーズに移すことを確定したと報じられている(同上)。

このように、米韓の軍事的な共同関係は、様々の局面で関係希薄化の動きを見せている。

日米間の共同関係についても、日米防衛協力についての新ガイドラインでは、日本有事の防勢作戦は「自衛隊が主体的に実施し」、米軍は「日本を防衛するため、支援し及び補完する」とされているが、同様の規定が米韓でも合意されている。

米韓軍の戦時作戦指揮権も文在寅政権下の2020年には移管される可能性が高まっている。

そうなれば、米韓の指揮関係も実質的な効力を失い、韓国軍の単独指揮が実現する可能性が高い。米韓連合司令部の平沢移転もその流れに沿った動きと言えよう。

■日本は最悪の事態に備えよ

その平沢を直接攻撃でき迎撃の困難な短距離ミサイルの開発配備能力を、北朝鮮はいま見せつけている。

在韓米軍の撤退は案外近く、日韓の対立関係が改善されないとすれば、核ミサイルを持った反日的な統一朝鮮と対馬海峡で対峙するという事態が、文在寅大統領の在任間の2022年5月までに実現する可能性に、日本は備えておかなければならない。


本コラムは<jbpress.ismedia.jp>からの転載です。
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発表時期:2019.08.22

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